パーソナルアシスタント町田
vol.139 2018.10 発行

<第139回> 人のミスを讃えない

 私は学生時代に中学、高校、大学とバスケットボール部に入っていました。
 所属している学校が強豪校だったので日々向上心を持ってバスケットボールに取り組めていたのですが、何より指導者に恵まれていました。
 優れたスポーツの指導者(以下コーチ)はよくコートの外での指導も評価されますが、私もそのコーチからコートの外でも多くの指導というか教育というか、生きていく中で貴重な教訓をいくつも受けました。今回はその話について書かせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

 現代のスポーツにはビジネスがつきものです。観戦チケットを発行して観客を動員し、ユニフォームにはいくつものスポンサーのロゴをつけてプレイヤーがプレーをする時代です。
 観客は直接的に試合に関わることはもちろんできませんが、声援や楽器などで雰囲気を作り、また、罵声を浴びせて選手の精神状態を撹乱するということもできますね。
そういった行為は中学、高校のスポーツでもごく普通に行われていることです。

そういった中でコーチは4つの決まり事を作りました。
① 相手の不注意によるミスに拍手をしない。
② 相手のフリースローの失敗に対して拍手をしない。
③ 相手のファウルに対して拍手や「ナイスファウル」などの声をかけない。
④ 審判のジャッジに対する不満の声をかけない。
 これらはフェアプレー精神を根底として作られ、 コーチのゲームは相手チームと作り上げていくものであり、敵ではなくパートナーであり、相手のミスを喜んでいるうちは敬意や称賛は得られない。という考えによって作られました。
 試合中のミス自体は敵チームに何らかの利益をもたらすので、相手のミスを期待したくなる気持ちはよくわかります。しかし、そのミスに対して感謝したり、ミスした選手を讃えて拍手を送るという行為は一生懸命プレーする選手に対して行う行為ではないのかなと思います。

 スポーツの中において、時にたった1つのミスが勝敗を左右することがあります。その瞬間に熱狂することを求めてスポーツ観戦をする人もいるでしょう。ただ、その中にあっても本当に讃えるべき人がだれか考えることが必要だと私は教えてもらいました。
 また、4つのルールは試合の見方も変えました。ミスに脚光を当てないことによってそのミスを誘発した守りに視点をかえて学習することができたからです。ミスはマネしてもミスです。学習するべきはどうしてミスになったかとミスを誘発した守りの技術です。

 私は現代のスポーツが観客ありきになっている今だからこそコーチが大切にした「フェアプレーの精神」が必要だと思います。よりエキサイティングに仕向けられたスポーツも肯定されるべきなのかもしれません。観客を動員できればチームが裕福になり、裕福なチームが環境や選手の契約で優位に立てるのは事実です。
 しかし、スポーツの中から何かを学び取り、人間として成長するために必要なのはコーチが大切にしていた「フェアプレーの精神」なのではないでしょうか。

 余談ですが、コーチは我が中学を一度は東京都の頂点まで押し上げてくださいました。もちろん4つのルールがすべての勝因だとは言いません。
 ただ、チームとして守るべき、揺るがない精神があり、精神面で成長できたことは間違いないかと思っています。

 今回は教えをいただいたのが体育館の応援席でのルールですが、日常生活にも精通するところはあります。例えば職場で同期が仕事で大失敗をしでかして、自分にチャンスが回ってきたとします。ここで同期の失敗に対して感謝の気持ちを持つか、それともなぜ失敗が起こったか分析するか、この差は大きいのではないでしょうか。

 今回は障害やホームヘルパーといった分野に一切触れない形になってしまいましたが、私の中でとても大切なことでいつか書いてみたいと思っていた内容でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

-お知らせ-
今まで毎月ホームページに載せてきたコラムですが、社内の業務改善によって不定期掲載という形にすることにいたしました。
来月より不定期になりますので、その点ご了承いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。


(三井)



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