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vol.113 2016.8 発行

<第113回>学ぶ場の選択

先日、映画「風は生きよという」を観てきました。
出演者の皆さんは重度の障害を抱え人工呼吸器を使用しながら地域社会で暮らしています。様々な苦難を乗り越えながら前へ力強く歩み続けている姿に感動と共に、とても勇気づけられる素晴らしい映画でした。

その出演者の一人Aさんは、やはり重度の障害を持ちながら、家族の支えもあり地域の普通学校(中学)に3年間通学していました。
今では少しずつですが地域の普通学校に通う障がい者は増えてきました。昔はそういったケースはほとんどなく、特別支援学校(以前は養護学校)に通う人がほとんどでした。
Aさんは他の出演者と同じく人工呼吸器を使用しており、気管切開をしていることもあり声によるコミュニケーションが取れません。母親の介助が必要不可欠であり、支援体制が充分とは言えない中で普通学校に通うというのは、想像できないほどの高い壁と苦労があったかと思います。

私も障がい当事者ですが、小・中・高と地域の普通学校に通っていました。
あまりはっきりとは覚えていないのですが、私を普通学校に入れるのも親は相当苦労したようです。
学校側としては、前例がない・受け入れ体制が整っていない等の理由から、入学を断っていたようで、周りの人からも設備や受け入れ体制が整った特別支援学校に通った方が私にとっていいのではないかと言われていたそうです。それでも親は私を普通学校に入れたいという考えを変えませんでした。
その結果、周りの協力もあり親の思いが通じたのか、私は地域の小学校に通うことができることになりました。もちろん、入学してからも苦労の連続で、入学の条件として私のいる教室の空き部屋に登校から下校まで毎日母親が待機しなければならず、暖房がなかったため冬はとても寒くて辛かったようです(それが3年生まで続きました)。

私もそれまで同年代の健常者との接点がなかったため、始めは周りの子とコミュニケーションを取るのに苦労していた思い出があります。
普通に考えれば、支援体制が整っている特別支援学校に行けばそんな苦労もなく、もっと楽しい学校生活が送れていたかもしれません。
誰もが地域の普通学校に通った方がいいというわけでもありません。特別支援学校に通った方がより良い学校生活を送れる人もいると思います。
でも、障がい者だからという理由だけで特別支援学校しか行くことができないといった、学ぶ場の選択肢を与えない状況があるのはちょっと残念な思いがあります。

普通学校・特別支援学校のどちらが良い悪いではなく、どちらにもメリット・デメリットはあります。
だからこそ、学校生活を送る本人やそれを支える親が、どちらの学校に通うかを選択できるようになることで、あらためて学ぶということ・学ぶ場の環境の大切さを、社会全体へ広めていくことに繋がるのではないかと思っています。
私自身は普通学校に通ったことで辛かったことや失ったものも大きかったですが、それ以上に様々な人との出会いがあり、それらは私の人生における財産でもあります。
そういった出会いを紡いでくれたのは間違いなく両親や周りの人達であり、本当に感謝しています。

しかし、その割には普通学校に通った9年間、成績の方は今ひとつでテストの点数等で親から誉められたこともあまりなかったので、このコラムを書きながらもっとまじめに勉強しないといけなかったと、あらためて反省している日々を送っています。 <TA>



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