パーソナルアシスタント町田
vol.134 2018.5 発行

<第134回> 減少、高齢化する脊髄、頸髄損傷

先月から連続のコラムになります。三井です。
相変わらずの文章力ですがよろしくお願い申し上げます。

 さて、私を含めて頸髄損傷という障害を負った利用者が多い当社なのですが、同じく障害を負った脊髄、頸髄損傷者の数が近年減少してきております。
 とある病院では脊髄損傷者や頸髄損傷者を主に看ていたフロアが患者数減少を原因に縮小するという事例があるくらいです。
 まだ、再生医療は実際に臨床段階の適用には至っていないので脊髄、頸髄損傷者減少に直接的には関係ないはずです。
 患者数が減っていることは大変喜ばしい事なのですがなぜ減っているのか、どういった要素が絡んでいるのか、データを見ながら紐解いていきたいと思います。

まず、この原因を紐解く大きなヒントが高齢化です。
この頃、高齢化というワードをよく聞きます。
 脊髄、頸髄損傷者という以前に日本の国民の全体が高齢化しているので高齢化傾向にあって当然なのですが、どうやらその他に理由があるようです。
答えは受傷要因を見ればわかります。
 少し前まではずっと脊髄損傷、頸髄損傷になる理由第1位は交通事故でしたが、近年は交通事故と同じくらい歩行時の転倒という理由が同じくらいの数になっています。
 事故の原因別に年代層を示したデータを見てみると交通事故は若年層、中年層に多く、歩行時の転倒は高齢層に多い傾向があります。
 ただ、転倒事故の数は増加傾向にあるわけではありませんでした。
 つまり交通事故の数が減少していることになります。飲酒運転の取り締まり強化、車の事故軽減機能の開発、さらに若者の車、バイク離れによって若者の脊髄、頸髄損傷者は減ってきていたのです。
 ここまでの文をまとめますと、「近年交通事故などの減少により脊髄、頸髄損傷は減少傾向にあり、全体の受傷者数が下がっており、その分、高齢者の転倒などによる事例の割合が増加傾向にある」ということでしょうか。
 さらに、若年層に多いスポーツによる事故にも変化があります。
 水泳の飛び込みについて首の骨を折るなどの事故が相次いだことにより、授業や公共のプールなどあらゆる場面で飛び込みを禁止する傾向にあるのです。
 このようなこともまた、脊髄、頸髄損傷の数を減らすのを手伝っていると思われます。
 さて、ここまで脊髄、頸髄損傷者の高齢化というキーワードから受傷者数減少の理由を紐解いてきたわけなのですが、高齢化するという事に対する問題点についても触れておきたいと思います。

 これも脊髄、頸髄損傷者問わず問題になっている事ではあるのですが、社会参加及び社会復帰がなされない事です。ある程度年を重ねた方にとって大きな後遺症が残るけがをしたとき、日常生活に戻って今までしていた仕事に戻る、または、仕事にかかわらず新しい事に取り組んでみようかという選択肢を取らない、あるいは取れないといったことが高齢になるにしたがって増えてきます。
 これはある程度仕方ない事なのかもしれません。もしも自分が高齢になってから受傷したと考えたときに、もう十分働いたし、あとは福祉サービスを使いながらゆっくりと自宅で暮らそうと思うかもしれません。

 しかし、まだ活躍できる場所があるかもしれないのに社会参加ができない事や、常時介助を受けることが当たり前になってしまったり、外部との交流の場が失われてしまう事もできれば避けたいと感じます。無理に働けとは言いませんが、今よりも気兼ねなく高齢の方でも社会参加しやすい環境作りが求められているのではないでしょうか。例を挙げるとするならば入院中の職業訓練の充実や、同じ様な障害を持った当事者団体による交流やピアカウンセリング、高齢者に対応できる相談支援員の育成など、どうでしょうか。
 今、私の中で思い浮かんだのはこれくらいなのですが、皆様はどう思われますでしょうか。

是非機会があればご意見お聞かせいただければと思います。
次回もよろしくお願い申し上げます。

(三井)



PAGE TOP