パーソナルアシスタント町田
vol.136 2018.7 発行

<第136回> 東京レインボープライドに行ってきた
                                             ~セクシュアルマイノリティーということ~ 後編

 さて、前編では、筆者が東京レインボープライドに参加してきたということ、そしてごく浅くではありますが、LGBTについての説明をしましたね。
 わかりやすかったでしょうか? それとも、わかりにくかったでしょうか?
 ちょっとだけおさらいしてみましょうか。

 「性自認や恋愛対象は、他者が文句をつけたり押し付けたりするものではなく、自分の性は自分が決めるものである。出生時の遺伝的、身体的な性別だけに縛られて生きる必要なんてない。異性であろうが同性であろうが、誰を愛するかは自由なものであるし、誰にもそれを制約できない。そもそも、性別に「らしさ」を求めて、ああしなさいこうしなさい、これはだめ、なんて誰にも言われる筋合いはない」

 私が前編で一番説明したかったところって、つまりこういうことなのです。 1つだけ注意点があります。それは、ここに書かれている情報が正解だなんて思ってほしくない、ということです。マニュアルや一つの正解では捉え切れない、様々な色のまぜこぜやグラデーションこそがセクシュアルマイノリティーの姿だからなのです。

 まぜこぜ、性の多様性、グラデーション……そのような精神を体現したのが東京レインボープライドのようなパレード、お祭り、啓発活動を同時に開催するイベントと言えるでしょう。
 悲しいことに、21世紀になった今でもセクシュアルマイノリティーであることが罪に問われ、最高刑が死刑の国もまだたくさんあります。「レズビアンを治療する」という目的で強姦される事件や、セクシュアルマイノリティーを狙った銃乱射事件などは、同性婚を認めている先進国ですら発生しています。
 もちろん日本も例外ではありません。同性愛を理由に宿泊を拒否される、賃貸の入居を拒絶される、同性パートナーが救急搬送されるときに家族とみなされず、救急車の同乗や一時的な保護者になることを拒絶される……挙げていけばきりがないくらい、悲しいことや辛い現状はまだまだ日本にもたくさんあるのです。

 レインボー、つまり虹色は、たくさんの色が集まっている「多様性」を表しています。これをシンボルとして、「セクシュアルマイノリティーはどんな社会にもいるんだよ」、「私たちは生きているんだよ」と声を上げること。
 レインボープライドや、プライドパレードと呼ばれる一連の運動、イベントの意義や成り立ちを大まかに説明するとこのような感じになります。

 当日現地で私が感じたのは、レインボープライドはとても明るくて楽しくて、真面目なのに面白おかしいイベント、ということでした。
 社会的な不都合、不具合を是正しようという活動と、セクシュアリティーの垣根を越えたまぜこぜのお祭りが同居する空間。同性婚を実現させよう、という生真面目なブースのすぐ近くに、500円フットマッサージ屋さんのテントがあり、セクシャルマイノリティーのための法律相談ブースの横には、性別関係なく素敵なメイクアップを指南してくれるブースがある。それは、「私たちが目指している社会ってこんなに素敵なものなんだよ」という明るいメッセージでもあるのです。

 Happy Pride !(ハッピープライド)、直訳するのが少し難しいですけれども私はこの言葉が、イベントの精神性と、性の多様性を実現した社会の在り方を表していると感じています。元々はGay Pride(ゲイ プライド)-「同性愛者であることを誇りに思って生きていく、セクシュアルマイノリティーであることは何らマイナスの要素ではなく、むしろその要素を社会的な誇りにして生きて行こう」そういう意味の言葉で、社会的に抑圧されてきたセクシュアルマイノリティーが、自分たちの存在を表明するときに使われています。これを、「ハッピープライド!」という形で相手にも自分にも呼び掛ける言葉にするとき、「私もあなたも、その誇りを尊重して生きて行こう」というような、お祝いのあいさつのような言葉になるのです。
 東京レインボープライドでは、代々木公園を出発し、原宿と渋谷を回るパレードが行われ、私は虹色の旗を持ってたくさんの参加者たちと街を歩きました。パレードを歩くのは実に様々な人たち。男性、女性、それ以外の人。日本人、外国人。キリスト教徒、仏教徒、家族連れ。電動車いすに乗った人、盲導犬を連れている人、手話で話している人。内部障害を持っている人……。
 また、パレードに協賛の意を示す企業は、店頭にレインボーフラッグを出したり、看板の背景を虹色にしたりとたくさんの工夫をして、店の前を歩いていく私たちを応援し、笑顔で手を振ってくれました。また、沿道を歩く人々、バスに乗っている人々からも、沢山の「ハッピープライド!」を貰いました。そしてわたしも、沢山の「ハッピープライド!」を言葉にしました。
 多様性のある社会と一言で言っても、実現するということは大変な困難があり、私自身も色々な問題にぶち当たってきました。けれど、パレードの中にいた時、会社に関することを法律相談ブースで話していた時、フリーハグの人とハグをしたとき、私はこの上ない自由を感じたし、「ああ、社会の中に本当に私たちが生きていける場所は、ちゃんとある。もしも無くても一緒に作ってくれる人はまだまだいるんだ」と、もういい年の大人ですが、素直に感動してしまいました。

 私は現在、パーソナルのワーキンググループの中で、LGBTの働きやすさ向上とその理解について活動しています。このコラムから、「セクシュアルマイノリティーって何だろう?」「性の多様性を目指すってどんなことだろう?」と興味を持ってもらえたら、と願っています。
 一緒にまぜこぜの、虹色のグラデーションな世界を作って、体験してみませんか?差別をなくせ、と叫びたい時は本当に沢山あるけれど、一緒に活動してくれる仲間がいてくれて、マイナスな気持ちを上回る勢いのプラスなエネルギーで満ちていられたら、その方がきっと生きづらさの解消には近道なのかもしれないと思うのです。

 誰もが「ハッピープライド!」と笑顔で生きていけるような社会を目指して。


2018年初夏
町田事業所 五嶋冴子



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