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PAM通信モバイル版

コラム vol.73 2013.4 発行

<第73回>社員インタビュー 第5回:ホームページ担当


我が家が田舎にあるからでしょうか。寒暖の差が激しい毎日ですが、文章をしたためる手を止めて窓の外を見ると、まだ桜の薄紅がほころんでいます。
儚さの象徴として扱われる桜でも、厳冬を耐え、長い下準備を整えて花を咲かせ、人々の生活に彩を与えている。やがて花を失った枝からは、若葉が次々と顔を出す。毎年、毎年、それを繰り返していると考えると…。儚いなんて信じられないくらいに、桜は生命力の強さを発揮しています。
この時期は私たちも、気温差にやられたり、花粉にやられたりで、散々な目に遭っていますが、負けじと人間の生命力を発揮していきたいですね。
さて、お花見はこの辺にして、第五回目のインタビュー対象者は、センス抜群のデザイン担当、阿部さんです。ホームページ製作を初めとするデザインのお仕事や、ご趣味の映画についてなど、マニア心をくすぐるようなお話しをしていただきました。
今回は写真も交えてのインタビューです。どうぞご覧ください。


/はじめに、パーソナルアシスタント町田でお仕事を始めるようになった経緯を教えてください

安藤社長がPAMを立ち上げて、そのときに僕は利用者として誘われたんです。「一緒に仕事をしよう。ホームページなんかを作ってくれないか」とも言われて。安藤社長なら何か新しいことをやるんじゃないかな、って気がしたし、ちょっと面白そうだな、と思いました。
最初は在宅勤務をしていたんですけど、段々と事業が大きくなってホームページの仕事なんかも忙しくなって、2年くらい前から会社へ通うようになりました。

/仕事の担当内容をお教えください

主に製作物のデザインを担当しています。社員証、名刺やパンフレットなど扱うものは様々ですが、ホームページの仕事に最も時間を費やしていますね。

/お仕事のスケジュールをお聞かせください

ホームページに関しては、毎月20日までにPAM通信や、研修通信、コラム、衛生委員報告などを更新しています。
パンフレットは、部数が少なくなった段階で増刷。他にも不定期で、スタッフの名刺、封筒やクリアファイルなど事務用品を作成。社員証は新規でスタッフが入った時に作成しつつ、1年に1度、9月に全員の分を更新しています。そのくらいですね。

/他の社員との連携はどのように行っていますか

それほど連携することはないんですけど、ホームページに載せる原稿は担当者にメールで送信してもらっています。社員証や名刺の作成では、僕がデザインして印刷したあとの工程に、切ったりパウチしたりの手作業が入るので、そういうのができるスタッフに任せています。それが連携ですかね。
パンフレットに関しては事務局会議でスタッフに目を通してもらい、内容の調整を行います。
デザインは一任されています。

/ホームページの製作について詳しくお聞かせください

デザインの際に使用しているソフトは、PhotoshopとIllustrator。障害によりマウスが使いづらいので、代わりにトラックボールでポインタを動かし、ソフトを利用しています。口にくわえた割り箸の先でトラックボールを操作しているので、細かい作業にも支障はありません。

トラックボール作業写真
※割り箸でトラックボールを操作する阿部さん。トラックボールの台やパソコン周辺の装置は阿部さんが自身の身体に合わせて作ったものだそうで、改良に改良を重ねてこれが三台目なんだとか。

ホームページのデザインコンセプトとして、会社だからといってあまり堅いものにしないように心掛けていますね。まぁ、かといって、会社らしさから外れすぎても困るから、その辺のバランスを意識しています。
企業シンボルのデザインは僕が考えました。最初は字の色が赤だったんですけど、安藤社長から「字を赤くすると赤字になって縁起が悪いので、変えてくれ」と言われて。それでオレンジになりました。

会社ロゴ
※柔らかい色合い。PAMのシンボルはオレンジの文字が温かい。

個人的にどぎつくない色が好きなので、ホームページ全体の色は抑えて、ところどころにちょっと強めの色を入れています。あとは文字のサイズがあまりにも大きいとダサいので、そんなに大きくなく、でも小さくなりすぎないようにしていますね。クリックしてほしいところ、見てほしいところだけ文字を若干、大きくしたりも。 TOPページの写真はスタッフが撮ったものです。僕も撮影の角度を下からにしてとか、色々うるさく言いましたけど。その写真を加工して使っています。
これらデザインの構想が固まったら、それをWeb上へ反映させるために、タグと呼ばれるものをPCで打ち込みます。Dreamweaverなどのソフトを用いて打つ人もいるけど、僕はエディタでタグを打っています。

/パンフレットのデザインについて詳しくお聞かせください

ホームページをデザインするときも心掛けているけど、なるべく統一感は出すようにしいてます。
パンフレット用の写真も撮りに行ったりもしましたね。凄く安上がりな写真を、スタッフで。
僕は写真の構図を決めるのが仕事。できた写真の色味を変えたり、ぼかしたりして編集しています。

パンフレット写真
※スタッフの写真でできたPAMのパンフレット。会社のシンボルも組み込まれている。

/デザインを考える際は何を参考にしていますか

日々、見ます。街や周囲なんかを。
色々なものの端々を組み合わせて、デザインの材料にするんです。

/デザインやホームページ製作に関しては、いつお勉強されたんですか

怪我して障害者になったのが、30年くらい前のこと。
車椅子に乗り始めてから、好きな分野のことを勉強しておこうと思うようになったんです。
それで15~6年前……もうちょい前かな? 専門学校に行きました。
ソフトの使い方やホームページ製作に必要な言語の使い方まで勉強して、デザイン関係は独学でしたね。
専門的な話になるんですけど、専門学校に通っていた当時はフレームという技術を利用してホームページを作るのが主流だったんです。それが今やCSSという仕様が生まれ、フレーム以上にデザインを実現してくれる技術として使えるようになった。CSSで作った方が良いぞってことで、そこでガラっと作り方が変わりました。
その辺りはすべて独学ですね。CSSを用いた他のホームページがどんなふうに作られているか、大まかな流れみたいなのを見ておいて、あとは参考書を買えば、わかるようになります。

/仕事をしていて楽しいこと、苦しいことをお教えください

楽しいのは、Photoshopとかで自由にデザインの作業をしているとき。
考案中のデザインをホームページにカチっとはめ込めるような、全体の“設計案”が浮かんだときも、楽しいです。
逆に苦しいことと言えば、その“設計案”が浮かばなかったとき。四苦八苦しますね。
他にもデザインをweb上に反映させるために使用する言語、HTMLやCSSを打ち込む作業。打ち込んでも始めは思い通りに反映されず、ホームページに微妙なズレが生じてしまうんです。
なので、ズレを直すべくCSSを使用してデザインを合わせていくんですけど、そこがどうしても合わないんですよね。その、何故合わないのかを探す作業が……、打ち込んだ言語とずっと睨めっこするんですけど……、苦痛でしょうがないですね。
だから、いい“設計案”が浮かんでデザインが反映されたときは、気持ちが良いんです。

/お仕事とプライベートで、これから実現させたいことはありまですか

 仕事では将来的に、ホームページ製作などの外注の仕事をPAMで請けたいです。例えばそういうことをするチームができてくれば、安藤社長が取り組んでいる当事者雇用にも貢献できるかなって。そういうチームを作っていきたい。
プライベートでは僕、ずっと映画を撮りたいと思ってるんです。テーマは決めてないですけど、脚本は常に考えています。実際に脚本を書いたこともあって、いずれできあがったらいいなと。実現するのは先の話ですけど。

/自立生活を目指す人たちにアドバイスをお願いします

もともとは大和市に住んでいたんですけど、28歳のとき、自立生活を始めるにあたって町田市に引っ越しました。
大きな挑戦で生活に不安はあったものの、実家では、あまり身体が丈夫ではない母親がずーっと僕を見てくれていて、このままいくとお互い潰れちゃうなっていう危機感があった。自立生活を始めて、母親もどんどん元気になっていくし、だからそういう面で安心感っていうか、晴れ晴れした気持ちがありました。
自立生活することに対して、家族はそんなに心配してなかったと思います。
とはいえ当時、20年前っていうとあんまり設備も整ってなくて、なんでも自分でこなしていかないといけなかったんです。最初に取り組むとき苦労したのは、ヘルパーさん探し。なかなか人数が揃わないんですよね。だから色んなところでビラ配りしたり、知り合いに声を掛けて紹介してもらったり。そんなことをやっていました。

/ヘルパーさんとはどのように関係を築かれていますか

ヘルパーさんから見ても同様なんだと思うんですけど、お互いに“つかず離れず”の付き合いがいい。自立生活を始めたばかりの頃はヘルパーさんと近づきすぎてお互いが依存し合うというか、そういう事態になってうまくいかないこともありました。本当にちょっとの甘えで関係性が壊れてしまったりするので。バランスを取るのが難しいですが、“つかず離れず”を意識していたほうがいいかな。

/パーソナルアシスタント町田の変化について、お教えください

事業が大きくなり、昔はアットホームな面が多かったんですけど、最近は企業になってきたなと実感します。
僕が規則正しくなりました。

/他の職場とココが違う!というものはありますか

安藤社長が結構、利益追求を考える人なんです。福祉業界ではあまりそういうところはない気がするんですよね。総力を挙げて目標に向かうから会社が凄く活気付いています。
障害者が自立するために、つまりは経済力も必要ということでしょう。
障害者のホームページを作るチームを実現したいと僕が言ったのも、その考えがあるからです。

/休日の過ごし方をお教えください

家で映画を観るとか音楽を聴くとかですね。あと妄想です。
忙しくて映画を観ていられなくても、妄想だったら簡単にできる。部屋の模様替えをしている最中にも、妄想で映画のストーリーを考えていたりとか、そういうのって楽しいじゃないですか。
好きな映画はロードムービー的な、自分の日常の延長として想像しながら観られるもの。
それと、欠かせないのはチャーリー・カウフマンという脚本家の作品です。
彼が脚本を手掛けた『マルコビッチの穴』、『アダプテーション』や、監督も手掛けた『脳内ニューヨーク』などがいいですね。
いわゆるハリウッドらしい脚本だと、ここで笑って、ここで泣いて、とお決まりがあるじゃないですか。シリアスであってもコメディであってもチャーリー・カウフマンの脚本はちょっと捻られていますけど、そういう、決まり事のない、こっちが考えられるようなストーリーが好きです。
彼の作品で一本お薦めを選ぶとしたら、『脳内ニューヨーク』ですかね。ひとりの人の一生を違った形で撮っていて、一回観ただけでは内容が掴み切れないけど、何回も観るとスルメのように楽しめる映画です。色んな意味に取れる、その脚本の組み方というか、彼のセンスが光っています。脚本も演出も……ま、観てみてください。 それと定番ですけど、好きな映画として挙げるなら『タクシードライバー』。映像も内容も役者の演技も、見事に決まっています。
僕は音楽も趣味で、フレーミング・リップスとかヨ・ラ・テンゴとかを聴くんですけど、一番の趣味はやっぱり映画。総合芸術なんで映像と音楽も合わさって、そこには色んなものが詰まっているんです。

/お好きな本を教えてください

昔の本ですけど、坂口安吾の『堕落論』ですね。 チャールズ・ブコウスキーという作家の本もいいです。最近あまり読めていませんが、変で最低なおじさんの話があるんです。他愛のないことのほうが面白いですよ。

/ラーメンがお好きと伺いました

ロックンロールワンというラーメン屋に、毎週行っています。
「ニボニボ」という煮干ラーメンがあっさり系でよかったんですけど、……最近なくなっちゃいましたね。
お肉を食べられなくなってきたので、夜はよく蕎麦屋で酒を飲みます。
うどんより蕎麦。麺が大好きです。

/最後に、次にインタビュー予定の能登山さんをご紹介してください

健康診断と特定事業加算の担当です。
能登山さんは広く色んなものを見られる人ですね。
ヘルパー職でも事務局の仕事でも、周りを広く見ています。
18年前に僕がこの生活を始めたとき、彼は大学生で、その頃からヘルパーをしていました。だから大ベテランです。経済観念にも優れているので、何でも聞いてあげてください。すぐに解決してくれると思います。

阿部さん、ありがとうございました。
次回のインタビューは三ヵ月後を予定しています。
皆様、楽しみにしていてくださいね!