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コラム vol.76 2013.7 発行

<第76回>APOカップvol.2


「気温はただいま46度。シドニー観測史上最高気温を更新しました!」

ホテルのロビーにあるテレビでは、現地のニュース番組のキャスターが半ば興奮気味に喋っていた。
「笑えないって・・・」
到着して早々の手荒い歓迎を受け、長旅の疲れも重なりグロッキー状態。
部屋に入ってすぐエアコンを付けて、ベッドにバタンキュー。
日本では体験したことのない、むせかえるような暑さと肌に突き刺すような日差し。
サングラスもせず外へ出ようものなら、日差しに目が耐えられず涙が出てきてしまう。
初めての海外にしては、不安が募るさい先だった。
しばらくしてお昼となり、ホテルに隣接している複合施設の中にあるレストランで食事を取ることに。

いざ、建物の中に入ろうとすると、恰幅の良い受付の男性に呼び止められた。
なんか喋ってきたけど、苦手な英語なのでさっぱり分からない。
かすかに分かる英単語を繋げると、どうやら会員登録をしないと施設を利用できないらしい。
しかし、それ以上のことは結局分からず、「sorry」と一言言って、ひとまず退散。
「やばい、どうしよう」と、うろたえていると、英語を話せる日本代表チームの関係者がたまたま通りかかり、泣きついて何とか通訳してもらうことに。
その後、なんとかその人のおかげで会員登録も済み、無事に施設に入ることができた。
恐れていたことではあるけど、自分の英語のヒアリングレベルの低さを改めて痛感した。

レストランに着いて、メニューを見る。
もちろん、和食なんかはあるはずもなく、パスタやステーキやハンバーガーなどが並んでいたが、驚いたのが値段。
パスタ一皿で2000円、ハンバーガー1個で1000円、コーラが1杯で500円と、どれも日本より値段が倍近くするものばかり。
とりあえず、無難なハンバーガーを頼んでみると、やってきたハンバーガーのサイズはかなりのBIGサイズ。
これぐらいの大きさなら少々高くても仕方ないかとハンバーガーにかぶりつくと、口に広がるのはトマトケチャップの味だけで、お肉のジューシーさはほとんど皆無。
オージービーフを期待していただけに、かなりテンションが下がってしまった。
唯一美味しかったのは一緒に頼んだコーラという、早速の食におけるカルチャーショックを感じながらレストランを後にした。

初日はなんの予定もなく、買い物にでも行こうかと思い、今回の遠征に同行している添乗員さんに聞いてみると、ショッピングセンターまでは20分ほど歩くとのこと。
「気温はただいま46度。シドニー観測史上最高気温を更新しました!」
そんなニュースが流れている時に20分も歩けないと断念し、せめて飲み物などの買い出しのためにコンビニに行きたいというと、コンビニはショッピングセンターに併設されていると聞いて、またまた断念。
そんなこんなしているうちに喉が渇いたので、ホテルの中で自動販売機を探すもどこにも見あたらない。
まさかと思い、再び添乗員さんに自動販売機のことを聞くと、ここら辺に自動販売機はないとのこと。
このままじゃ干からびてしまう!と思っていたら、ホテルの正面にあるボーリング場の売店に行けば飲み物が買えるとのことで早速ボーリング場に行き、店員に向かって「I don't speak English」というオーラを漂わせつつ、いつものごとく添乗員さんに通訳をお願いしながら、なんとか飲み物を買うことができた。
500mlのペットボトル4本で、占めて日本円にすると1000円ほど。
やはり、ここでも日本との物価の違いを感じた。

ホテルに戻り、体の疲れを取るために早めに寝ようと、電動車椅子からベッドに乗り移る。明日に備えて電動車椅子の充電をするため、充電器のプラグを電動車椅子にさしこみ電源を入れた。
「トゥン・・・」
金属が響くような音を立てた後、充電器はうんともすんとも言わなくなってしまった。
戦慄が走る。
「充電・・・器、壊れ・・・た?!」
一番恐れていたことが起きてしまった。
日本とオーストラリアでは電圧が異なるので変圧器を持ってきたのだが、家電用の変圧器だったため、うまく電圧を変換することができず充電器が壊れてしまったようだ。
明後日からは練習が始まるので、それまでに充電をしておかないといけない。そもそも、大会は数日間あり、一日で多くのバッテリーを消費するため、毎日充電しないとすぐにバッテリーが切れて電動車椅子を動かすことができなくなる。
バッテリーがなかったら電動車椅子はただの鉄の塊であり、乗っている僕はただのおっさんだ。
冷や汗を垂らしながら、呆然と電動車椅子を見つめることしかできなかった。(TA)
(Vol.3に続く)


研修写真











ボリューム満点。でも、味は・・・。